潔癖症と除菌で子供が生きられない
汚れと黴菌(ばいきん)、清潔さのありようは昨今、いいも悪いも顕著に認識され始めたように思えます。
なかでも、
モンスターペアレントと呼ばれるバカ親が、色々騒いでいる中で先々自分の子供の命に関わる大切なことを「外で遊ばせるな」、などと言って怒鳴り込んでくることが多いそうですが、これは、せっかく子供が泥や砂から免疫を獲得する機会を奪っているんですよ。
ひと昔前の親なら「ずいぶん泥だらけになって」とぼやきはしてもそれが子供だと、思っていたはずですよねぇ、あなたの親も、そうだったのではありませんか?
清潔すぎる人はボロボロの身体になる
バラエティー番組で潔癖症をひけらかすようなタレントが、結構います。けれども、あれは自分の身体は細菌によって、成り立っていると言うことが全く判っていない大ばかものですね。
そして、ちまたには『抗菌グッズ』、『除菌グッズ』が溢れかえっています。
除菌ブームで金儲け
せっけん・ウエットティッシュ・便座クリーナー・などや、除菌スプレーはまな板やフキンやテーブル用などなど、きりが無いくらいとにかく除菌です。菌は大敵!!という感じでCMは流れます。潜在意識にすりこまれてしまいますね。(洗脳といえるかな?)
インフルエンザがはやっている時の、消毒や除菌がすりこまれて、菌に対して過剰な恐怖をいだくのか。清潔好きの人は「菌=悪いもの」と考えがちですが、それは大きなまちがいです。
よく善玉菌などという言葉を聞くように、人間の身体になくてはならない菌もたくさんあるのです。人間の身体には「常在菌」といわれる微生物がたくさんすみついています。
特にたくさんいるのは腸内ですが、身体の表面の皮膚にも表皮ブドウ球菌をはじめ、約1兆個、10種類あまりの常在菌がいます。
手を洗いすぎて常在菌まで失われてしまうと、肌のバリア機能は壊れてしまい、ひどい手荒れを起こしてしまいます。
洗いすぎは逆効果
薬用せっけんや除菌アルコールの乱用は、肌を清潔にするどころか、荒れた角質層のすき間に悪玉菌を繁殖させることになるため、かえって不潔になってしまうこともあるのです。
度を越して除菌・殺菌をやっていると、逆に健康を害するケースが多く報告されています。
清潔すぎる環境で育った子供は、アレルギーを起こしやすくカゼを引きやすい大人になる可能性があります。
極端な無菌に近い環境では、本来得られる免疫の基礎となる機能を鍛えられずに、よわっちい身体に弱体化させてしまうのです。
子どものうちに適度に菌と接触できる環境にあれば、私たちの身体は鍛えられ、自然と抵抗力が身につきます。
大人になった後の健康にまで大きく影響するのです。
すべての菌を「汚い」「不潔」と排除しようとするのではなく、少しおおらかな気持ちで菌と「共存」してみることが最高の健康状態を維持するためには必要なのです。
泥んこ遊びで免疫力が高まる理由
免疫とは、
「自己(味方)と非自己(外敵)を見分けて非自己(外敵)を排除する機能」のことです。
外敵は「抗原」とも呼ばれます。
おもにウイルスや細菌などの病原体(免疫反応を引き起こす物質すべて)を指しています。
世の中に存在する抗原の種類は、なんと 10億とも 100億ともいわれています。私たちのキープしている免疫(獲得免疫)は、これら気の遠くなるような種類の『抗原』に出合うたびに、
⇒それぞれの抗原ごとに最適な攻撃方法や最も効果的な武器の作り方を学習し、記憶していきます。
つまり、出合う外敵(抗原)が多ければ多いほど、獲得免疫のレパートリーが拡がり、能力はパワーアップしていくわけです。アクションゲームのアイテム・ゲットみたいですね。
特に、子どものうちにできるだけ多くの抗原にさらされると、獲得免疫はどんどん強くなり、多くの外敵に対する「記憶」ができて、再び細菌やウイルスにさらされても感染しなくなります。
20歳までが一生をきめる_自然免疫
自然免疫は加齢によって機能が低下していきます。その低下を防ぐことが重要ですが、獲得免疫は「強化」していくことが重要です。
なぜなら、先制攻撃を担う自然免疫は生まれながらに備わっていますが、獲得免疫は生まれてから私たち自身が「獲得」して強化していくものだからです。
- 自然免疫⇒低下予防対策
- 獲得免疫⇒強化対策
アレルギー反応
みなさんはこんな話を聞いたことはありませんか?
「子どもの頃にペットを飼っているとアレルギーになりにくい」
「農家で育った子には花粉症が少ない」
要するに動物や、土、農作物などから子供の頃に多くの免疫を獲得しているのです。
どういうことなのか?
胸腺
私たちの身体には、獲得免疫の学校ともいうべき器官があります。肋骨の裏側、心臓のちょうど上あたりにある「胸腺」という臓器です。
骨髄の中にある造血幹細胞でつくられた獲得免疫のひとつである『T細胞』は、生まれるとすぐにその学校(胸腺)に集められます。
そこで待っているのは厳しい教育です。
ここでT細胞が覚えなくてはならないのは、
- 攻撃すべき抗原との闘い方を覚えることと、
- 攻撃してはならない自己をしっかり認識することです。
10億とも100億ともいわれるさまざまな抗原に対応できるよう、T細胞には個々にちがった武器が与えられ、それぞれの抗原に適した闘い方を学びます。
このときに大事なのが、その人がどれだけたくさんの種類の抗原に曝露(ばくろ※)されてきたかということなのです。抗原の種類が多ければ多いほど、この学校で教えられる闘い方や武器のバリエーションは多くなります。
※曝露:さらされる
また、自分自身の正常な細胞を抗原とまちがえて攻撃しては大変なので、この学校では誤って自己のたんぱく質に反応してしまったT細胞はみんな殺してしまいます。
そのため、この学校を無事に卒業できるT細胞はきわめて優秀な約一割のみ。ほとんどのT細胞はこの学校から体内に出ていくことなく死んでいきます。
胸腺は無くなる
ここを無事卒業できたT細胞は、いうなればエリート中のエリートです。しかし、この学校の役割を果たす「胸腺」は、私たちが思春期の頃に最も大きくなり、その後はどんどん萎縮していき、20歳を過ぎる頃にはなくなってしまいます。
つまり、きちんと教育を施された優秀なT細胞を得ることができるのは20歳までだということです。
それ以後の獲得免疫は、これまで学校で教えられてきた闘い方しか使えないので、武器のレパートリーをそれ以上増やすことができません。
ですから、それまでに獲得免疫の機能を向上させることが免疫機能を向上させることになります。免疫の機能低下を防ぐことで、細菌やウイルスといった外敵から身を守ること免疫機能を向上させることで
免疫の作業効率を高めることこのふたつのポイントは、じつは「細胞レベル」で考えると、自然免疫と獲得免疫の話でもあったのです。
子供の免疫力を高めるためにも、サンマーク出版の本
「免疫力をあなどるな!(著:矢崎雄一郎)」を読むことをおすすめします。