腸内細菌が糖尿病に深く関わっている_人工甘味料の是非
すこし前になりますが、
2014年9月に英国のネイチャーに、糖分摂取を避けるために糖尿病患者や肥満の人や、ダイエットに励む若い女性たちが愛用してきた人口甘味料が、逆に糖尿病リスクを高めるという研究結果が示されたのです。
糖尿病といえば、糖をエネルギーに変える糖代謝が異常をきたすことで起きる病気です。それに「腸内細菌が関わっている」ということなのです、論文によると。
細菌、酵素などなど腸内物質が代謝系の病気に関与
今回の論文では、人口甘味料の摂取で腸内細菌のバランスが崩れることで糖尿病のリスクが高まるとしてますが、実は10年ほど前から腸内細菌が糖尿病や肥満といった「代謝系の病気」に影響を及ぼしているということが、研究者達により指摘されていたのです。
腸などの消化管は、従来は消化、吸収の為の器官と考えられてきました。
ところが、例として消化酵素のアミラーゼ。
消化管のなかではこのアミラーゼが働くほど消化はよくなりますので、
のです。ところが、研究結果は逆でした。
肥満や糖尿病の人はアミラーゼの分泌量が低く、やせている人では高かったのです。
まだまだ解明されていないメカニズムですが、アミラーゼなどの物質が腸などの消化管で、積極的に代謝系に関わっていることが判ってきました。
腸内細菌の質でやせたり太ったり
細菌の質が変わることで、吸収が落ちる場合も、また吸収が高まる場合もあるわけで、要するにやせたり太ったりは『質』なのです。
そういう観点から、肥満と無縁な健康人の腸内細菌の質は良く、細菌のベストバランスが保たれていると推定できます。
腸内細菌マウス実験結果
実験で抗生物質で全ての腸内細菌を殺しておいたマウスに肥満でない人の腸内細菌を入れてみると、マウスは太らないのですが、肥満の人のを入れるとマウスは太るのです。
要するに腸内細菌の質は人によって様々なのです。
人口甘味料でマウスの腸内細菌バランスは大きく変化
この論文では、人口甘味料で腸内細菌のバランスが崩れて、血糖値が高くなると書かれていますが、通常血糖値は食後に↑上がりだして、その後↓下がっていくのですが、「細菌のバランスが崩れると消化を助けるのではなく、血糖値の急激な上昇を促進してしまう」と推定されます。
人工甘味料マウス実験結果
さて、実験ではマウスに水・糖・人口甘味料を11週にわたり与え続けて腸内細菌の変化を観察したところ、11週めでは、通常はほとんど存在しないバクテロイドといった細菌が増えていたのです。
このような細菌が吸収を過度に促進して、逆に血糖値を下がりにくくさせているのではと推定されます。
せっかく糖分の摂取を控えようとして、使用していた人口甘味料が腸内環境を悪くして、糖尿病を悪化させたり肥満を促進させているとしたら、空恐ろしいことです。
腸内環境や腸の働きについてはまだまだ解明されていないことが多いようですが、少なくとも危なそうな物質は摂取しないほうが無難だと思います。