木炭の浄化・保存能力

よく炭を水に入れると美味しい水になるとか、炊飯器に入れるとご飯が美味しくなると言われますが、炭のどんな構造がこの様な力を発揮するのでしょうか。木炭は炭素の塊でその構造は肉眼では見えませんが、断面を電子顕微鏡でみると小さな孔が無数にあいているのがわかります。その孔の表面積は1グラムあたり約三百平方メートル(25メートルプールやテニスコート一面分の広さ)で、それが水や空気をとうしやすく大きな吸着力を発揮します。

この孔は樹木の細胞がそのまま空間になったもので、多孔質と呼ばれる構造です。要するに木炭は孔の塊でそれが縦横無尽にはしって全ての孔が、外気に触れているのです。このために通気性もよくこの構造が木炭の様々な特性を発揮するのです。そしてこの無数の孔が微生物のすみかになっていて、この微生物が有害な化学物質などをどんどん吸着して、分解する力を持っているということです。さらに水分を吸収し湿度が下がれば放出します。この調湿効果のほかに消臭効果・防腐効果もあり、大きな力を発揮します。
こうした特性を生かして汚水処理や河川の浄化・さらに土壌改良などにも木炭の力が発揮されています。

木炭の保存能力を示すエピソードとして、1972年中国湖南省の郊外で古墳が発掘されました。多くの歴史的遺産が出土した中で、世界の考古学者や解剖学者を驚かせたのが、
絹の着物を着た高貴な婦人の遺体でした。出土物などからこの古墳はおよそ二千年前のものだと判りましたが、驚くべきことにこの婦人の遺体はミイラ化もしないで、まだ肌に弾力が残っていたということです。学者たちが解剖して調べたところ内臓などが腐敗していない事がわかっただけでなく、狭心症で死んだ事も判明し、さらに胃の中には未消化の食べて間もない穀物の種も見つかったということです。その種をまいたら芽が出てきたそうです。二千年前の肉体が何故死んで間もない状態を保っていたのでしょうか。その秘密は
まさに木炭でした、棺の周りには五トンもの木炭が埋め込まれていました。すでに古代の中国人は木炭が、優れた保存能力を持っていることを知っていたのです。

木炭のミネラル効果

樹木に含まれるミネラルの種類は、カルシウム・カリウム・鉄・マグネシウムなどですが、このミネラルは炭を焼く過程で失われることはない。むしろ炭化することによって約三倍に濃縮されて、水に溶けやすくなっています。水に溶けやすいと言う事は体内への吸収性が高いということです。木炭を炊飯器に入れて炊いたご飯がおいしくなったり、水道水が美味しい水に変わるのも、ミネラルが溶け出しているのです。
水道水のカルキ臭は塩素が入っているせいですが、木炭を入れておくと31時間で完全に塩素を取り除けます。この間にトリハロメタンも分解されるということです。

木炭のマイナスイオンの効果

木炭の主成分の炭素には酸化してしまった物質に電子を供給して元に戻す(還元作用)と言う特性があります。物質の元の原子は電気的に中性を保っていますが、何かの原因でマイナス電子が離れるとバランスが崩れてプラスになりますが、これを酸化と呼びます。
物が新鮮でなく腐ってしまう事です。空気・土・食物・水その他のあらゆる物質も、電子が離れていく事で酸化状態になります。新鮮な食品が腐ると言う事は、原子から電子が離れていったということなのです。炭素は動きやすい活発なマイナス電子を多く持っています。それだけではなく周囲に電子を供給して酸化を防ぎ、また酸化した状態を還元する大きな力があります。電子は常に多いところから少ないところに流れ、密度の高いところから低いところへ流れる性質を持っています。ですから物の鮮度が炭によって保たれるのです。

竹炭

最近良く聞かれる炭ですが言うまでもなく原料が竹の炭です。軟らかくて割れやすいですが、性質は木炭の黒炭とほぼ同じです。焼く温度が低めなので備長炭の特徴とは異なり、
水に入れたり、ご飯を炊くよりも室内の脱臭や調湿に向いているでしょう。床下に入れたりするのにも適しています。

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