原発性アルドステロン症

高血圧症の5~20%を占める病気_原発性アルドステロン症を疑う

生活習慣病の高血圧症。降圧剤を飲んでいる人は、お年寄りだけにとどまらず、働き盛りの30-40代にも増えてきています。高血圧症にも原発性の病気のことを知りました。

ガンコな高血圧の人は疑ってみるべき!!

原発性アルドステロン症とはどんな病気でしょうか

高血圧症の5~20%を占める病気です。
副腎(腎臓の上にある小さな内分泌臓器) の腫瘍(大半は片側の副腎に出来る良性腺腫)や、両側の副腎全体が肥大する過形成(かけいせい※)によりホルモンのアルドステロンが大量に作られてしまう病気です。
※細胞数が過剰にふえるために組織や器官が 大きくなること

「アルドステロン」は脱水を防ぎ、血液中の電解質バランスを整えています。 しかし、アルドステロンが過剰になると、尿をつくる臓器である腎臓で、食塩(ナトリウム)を尿に出ずらくして食塩が体内に溜まってその結果、血管の中に食塩と水分が増加し、その血液を循環させる為に、血圧が高くなります。
同時に、アルドステロン自体が脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、心肥大、不整脈、腎不全等を促すホルモンでもありヤバイです。 原発性アルドステロン症は、がんこな治療抵抗性高血圧を示し、脳心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞)を起こしやすい病気です。
ということは、どうすればいいのか?血圧をコントロールすることと同時に、アルドステロン過剰による臓器障害を抑制することで、脳卒中、心筋梗塞等の発症を防ぎます。

患者さんの数は少なくない

おじさんの絵

この病気は極めてまれ(高血圧患者の0.1%以下)と考えられていました。
しかし、ホルモン検査の進歩で比較的容易に診断できるようになり、最近では高血圧患者の約5~20%を占めると考えられています。

特に、 治療に抵抗性の高血圧(血圧のお薬が3種類以上必要な方)では25%が本疾患と考えられます。脳卒中や不整脈の患者さんにも実はこの病気が隠れている可能性が高いです。

どのような人に多いのですか

一般の高血圧でも5~20%を占めますので、検診の後で初診時高血圧といわれたら、疑うべき疾患です。すなわち、若い人から高齢者まで性差なく広くみられます。

  • 特に血圧が160/100mmHg以上の方
  • 低カリウム血症
  • 副腎腫瘍を持っている方
  • 40歳未満で脳卒中を起こした方
  • 治療抵抗性(3種類以上の降圧剤でも下がらない人)高血圧

上記にあてはまる場合は、原発性アルドステロン症の可能性が高いと考えられますので積極的に調べましょう。

原因はわかっているのですか

副腎に病変(腫瘍とか過形成)ができて、アルドステロンが過剰に作られます。副腎は左右に一個ずつあり、どちらかに副腎の腺腫(極めて稀に癌腫)が出来てしまう病気です。

他にも、小さな病変が片側にできて (CT検査でも見つけられないほど小さい)、アルドステロンが過剰に分泌されます。この片側副腎に異常があれば手術で取り除きます。

この病気の全体の約60~80%が片側副腎病変の患者さんが占めていますので、これらの症例では、手術で治る可能性があります。一方、薬物療法が必要な両側副腎の病変を示す例が全体の20~40%を占めています。その原因は、両側副腎全体が肥大する過形成組織を示します。腫瘍あるいは、過形成ができる理由は不明です。

病気は遺伝するのですか

通常は遺伝しません。ただ稀に遺伝して家族内発症する例があります。
血族一親等(父親・母親・自分の子供)に、原発性アルドステロン症が発症した家族歴を持つ高血圧の人は、念のため遺伝子異常の有無を検査した方がいいです。

どのような治療法がとられるのでしょうか

1) 手術療法

左右どちらかに副腎病変がある場合は、外科(泌尿器科または内分泌外科)にて、副腎の腫瘍を取り除く手術を行います。内視鏡でお腹の中を覗きながら、片側副腎(または腫瘍のみ)を摘出します(腹腔鏡下副腎摘出術)。
この手術法では翌日から歩行、食事が可能です。
この手術に慣れた外科医にお願いしましょう。

2) 薬物療法

手術が無理な方、希望しない方、あるいは両側の副腎病変の場合は、内服薬で治療します。アルドステロンは脳卒中、心筋梗塞、腎不全などの心血管危険因子ですので、早期にアルドステロン作用をブロックする必要があります。現在、副作用の少ない特効薬である選択的 アルドステロン拮抗剤(エプレレノン)が開発されて開業医でも処方できます。

この病気はどういう経過をたどるのですか

原発性アルドステロン症は、通常の血圧のお薬でも容易に血圧が正常化します。 見かけ上、血圧がよくなっても心筋梗塞、脳卒中、 不整脈、腎不全等にかかりやすいので絶対に治療するべきです。高血圧の中で外科手術により治せる病気と考えられています。脳心血管疾患 (脳卒中や心筋梗塞)を起こしやすい病気です。血圧が良好にコントロールされているからといって油断大敵です。
絶対に検査すべきです。

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