突発性難聴

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

突発性難聴 (とっぱつせいなんちょう、Sudden Deafness)

2001年の調査では、全国受療者数は年間35,000人(人口100万人対で275.0人)。統計的には40代〜50代が多いが、近年10代〜30代の例も少なくなく、年齢や性別において大きな偏差は見られない。 基本的に原因不明・確実な治療法がない難病であり、厚生労働省の特定疾患に指定されている。騒音などが原因の外傷性(伝音性)難聴とは全く異なる難聴である。

原因

内耳などに障害が生じる感音性難聴の一種と考えられているが、現在のところ原因は不明である。 毛細血管の血流が妨げられ内耳に血液が十分届かずに機能不全を引き起こすという内耳循環障害説、 ステロイド(感染症に対して抗炎症作用を持つ)が効果を発揮することからウィルス感染を原因とする説などがある。 患者調査の傾向からストレスを原因の一つとする指摘もある。耳以外の神経症状(四肢の麻痺など)は見られない。遺伝の要素は今のところ見つかっていない。

症状

発症はそのとき自分が何をしていたか明言できるほど即時的(突発的)である。そのため発症時は難聴と気付かず「耳が塞がっているようだ(耳閉感)」「耳に水が入ったような感じが取れない」などと訴える事が多い。 実際は軽〜重度の難聴・耳鳴りなどが中心であるが、それに加えて音が「異常に響く」「割れる」「二重に聞こえる」「音程が狂う」などその副症状は人によって様々である。 ほとんどの場合片側のみに発症するが、稀に両側性となる場合もある。めまいや吐き気を訴える事もある。

誤解されがちな点であるが、突然の中途失聴が患者に与える精神的負担は極めて大きい。外見的には障害が見られず周囲の理解が得られにくい事や、健康体からの突然の発症からくるショック、耳の異常を常時自覚せざるを得ないため、深刻なストレスと精神的苦痛を常に強いられる。

なお「突発性難聴は再発しない」と言われているが、これは結果的に再発しなかったケースを逆説的に突発性難聴ととらえているだけであって実際は治癒後に再び発症する患者も多い。もっともこの場合は「2度目の突発性難聴(とは言え患者の傾向から見てそれぞれの発症間に因果関係が全くないとは考え難い)」もしくは「蝸牛型メニエール病や低音障害型感音性難聴等の疑いあり」との認識に移行するのが一般的である。

だが病名を特定したとしても、残念ながらいずれもが原因不明・目立った治療方法がないという点で全く同様であるのが現状である。 あくまで突発性難聴とは「急激に発症する原因不明の感音性難聴の総称」であり、特定の症状を指した病名ではない。そのため専門医でも判断は極めて慎重にならざるを得ない。

一方、発症原因が分かっている難聴として、脳腫瘍による難聴、外リンパ瘻(がいりんぱろう)、外傷性難聴、内耳梅毒、薬剤性難聴などがある。近年、突発性難聴やメニエール病と診断されている患者の中に外リンパ瘻が含まれていると言われている。

治療と予後

症状を自覚した場合は速やかに専門医(大学病院など)の診断を受けることが肝要。適切な早期治療と安静が極めて重要である。判断と治療の困難さから小病院・一般医では知識・設備が不足している場合が多く、誤診による手遅れ・認識間違い等に注意が必要である。実際聴力低下が見られても、ある程度会話が聞き取れれば正常とみなされ異常と診断されないこともある。

なお治療方法は上記の二仮説を想定したものが中心となる。一般的には発症から約2週間以内が治療開始限度と言われており、これを過ぎると治癒の確率は大幅に低下する。

内耳循環障害改善を目的とする、血管拡張剤、高気圧酸素療法、星状神経節ブロック。
ウイルス性内耳障害改善を目的とする、ステロイド剤。
上記治療も確実な効果を保証するものではなく、適切な治療を行っても患者のうちおよそ三分の一は完治し、三分の一は改善するが難聴・耳鳴りなどの後遺症が残り、三分の一は改善しない。症状が軽い例や早期に治療を開始した場合の予後は比較的良いと言われている。ただし何年も経ってから再発・症状が進行するようなケースもある。

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