鉄分摂りすぎの危険
鉄分(Fe)過剰摂取が、死亡リスクをあげる
※男性のほうが赤信号
血色素ヘモグロビンの原料になるのが鉄Fe。俗に貧血気味だからレバー食べようとか言ってましたね。さりとて鉄分摂りすぎは良くない、足らないと困る「鉄Fe」バランスが肝心。
鉄は、赤血球を作るのに必要な栄養素です。
鉄分「不足」あるいは「摂り過ぎ」ででかねない症状
鉄分は赤血球を構成するヘモグロビンの材料で全身の細胞に酸素を運ぶのに欠かせません。また筋肉や体内の様々な酵素にも必要です。過不足で様々な影響が出ます。
鉄が不足してると
- 鉄欠乏性貧血
- 倦怠感
- つめの異常
- 運動機能の低下
- イライラ
- 集中力の低下
- 疲れやすい
- 動悸
- 免疫機能の低下
- 抑うつ感(男)
鉄が過剰だと
- 便秘
- 胃腸障害
- 亜鉛の吸収阻害
- 急性鉄中毒
- 糖尿病リスク(男)
- 酸化ストレスの増加(細胞のガン化)
鉄分は多すぎても少なすぎてもダメなんです。
鉄分は在庫切れの後貧血になる
鉄分は脾臓や肝臓、骨髄などに貯蔵され、必要に応じて供給されます。この貯蔵分が尽きてから、いよいよ貧血になってしまうのです。貯蔵鉄不足です。
ですから、血液中の「ヘモグロビン」を調べても貯蔵量は判らないけれど、鉄不足発見の為には血液中の「フェリチン」という鉄分とタンパク質からなる物質の濃度を検査します。これが鉄の蓄えの指標になります。
この「フェリチン」は、男女差が大きくて、一般に月経のある女性は男性よりも少ない。当然、閉経前がフェリチンは少なく閉経後に増加します。
男性に限りフェリチン濃度低下は抑うつ傾向に
フェリチン濃度が低いと(貯蔵鉄の不足指標)、「抑うつ」傾向が高くなります。つまり、鉄が不足すると気分がふさぎこむ・やる気がおこらないなどという状態になりがちということです。
フェリチン濃度で4グループに分けて比較したところ、フェリチンが最も少ないグループは、最も多いグループの2.88倍「抑うつ」傾向が高まりました。ところが、女性はこの傾向がはっきり出ませんでした。
男性は、貯蔵鉄不足が引き起こす抑うつ状態になるリスクが約3倍高いんですね。
逆に摂り過ぎたら、鉄過剰摂取で何がおこるのでしょう。
男性は鉄分の摂りすぎで糖尿病とガンのリスクが高まる
最新の調査結果で、「牛や豚の肉を多く食べる人は糖尿病の発症リスクが高い」事がわかりました。
摂取量で4グループに分けたところ、最も多いグループは最も少ないグループより糖尿病発症のリスクが約40%も高かったそうです。なお、女性は関連が見られなかったそうです。リスクが高くなる原因の一つとして、赤身肉に豊富な鉄分ではないかと考えられました。
フェリチンとインスリン抵抗性
また、フェリチンの値が高いほど糖尿病になりやすい「インスリン抵抗性」の関係を調べた結果です。
20~60代の男女約500人を対象にフェリチンで3グループに分けて比較したところ、男性はフェリチリンが多いグループほどインスリン抵抗性が高かったそうですが、これも女性では差が見られませんでした。
また遺伝子に損傷を与える「酸化ストレス」とも関係がみられて、細胞のガン化にも関係があるかもしれません。別の研究ではフェリチンが多いほど酸化ストレスが多いと言う、きれいな右肩上がりの傾向になったそうです。
以上のように、
鉄の過剰摂取は、特に男性において要注意です。
鉄分は基本は食事で摂取する
鉄分の多い食品は、レバー・赤身の肉・鶏卵・青魚・うなぎの肝・貝類・海草ほうれん草・小松菜・大豆など豆類と製品などです。
吸収率は、貯蔵鉄量や食事などの状態で変化しますが、過剰摂取を避けるには、かたよって「こればっかり食べる」ことを避け、これらの食品を大量に食べない事です。
鉄は、ビタミンCにより吸収が促進されますが、「ふすま」やフィチン酸、お茶のタンニン、野菜類に含まれるポリフェノールなどは鉄の吸収を阻害します。
基本的に鉄分補給サプリメントはつかわない
通常、鉄分は食物で補給可能とされますが、特に女性の場合は月経の影響もあり不足しがちなので、積極的に食材だけでなくサプリでも摂るべきとされてます。けれど、やみくもに大量摂取すると身体に悪影響を及ぼします。
勝手に「自分は貧血っぽい」と自己判断して、鉄分のサプリは摂取しないことです。原因が別の場合もあるのです。鉄分の摂取不足ではなくて、胃潰瘍による出血など別の病気も考えられます。必ず病院で医師の診断を受けましょう。
鉄分は多くても少なくても弊害の出やすい、バランスが難しいミネラルなので十分注意が必要です。